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注意!こんな納骨堂には気をつけて!

注意!こんな納骨堂には気をつけて!

先日、北海道札幌市にある納骨堂が、運営する宗教法人の資金不足で差し押さえられたあと競売にかけられたというニュースがありました。

宗教法人は納骨堂が閉鎖されるとして、契約者に対し、遺骨を引き取るよう呼びかけていたものの、宗教法人代表者は行方不明となり、納骨堂には鍵を掛けられてしまったということです。

当然、契約者からは戸惑いや憤りの声や費用の一部の返還を求める声が上がっています。

何故、このようなことになってしまったのでしょうか。

また、経営が破綻してしまうような霊園・納骨堂を見分けるにはどうしたらよいのでしょうか。

詳しく書いていきます。

経営破綻したワケ

霊園・納骨堂の経営破綻は決して珍しい話ではありません。

今回、経営破綻したケースを参考に詳しくみていきましょう。

問題の納骨堂

ニュースによりますと、問題の納骨堂は10年前の2012年に開業し、市内の葬儀会社などからあわせて2億円以上を借り入れて設置・運営したそうです。

しかし、資金回収が当初の企画通りに行かず、借入金の返済が滞ったことから建物と土地を債権者であった葬儀社に差し押さえられ、競売にかけられた結果、2022年8月、市内の不動産会社が1億円あまりで落札されました。

競売にかけられ納骨堂が閉鎖されることになったので、最初は770基あまりの納骨壇の契約者に対し、遺骨を引き取るよう呼びかけていたそうですが、代表者が行方不明となったので、いまも多くの遺骨がそのままということです。

制度的には破綻しないハズ

墓地の管理運営者は法律で、地方自治体、宗教法人などの公益法人であることが定められています。

お墓は宗教的慣習により、先祖代々継承を前提としている以上、霊園・納骨堂には永続性が求められています。

そのため、経営者が破綻しないよう、営利企業などは霊園・納骨堂を経営できません。

しかし、実際には、登記上の経営者(経営母体)は宗教法人であっても、管理・運営をしているのは石材店、仏具店、葬儀社などがしていることがたくさんあります。

いわゆる”名義貸し”です。

問題点を整理

霊園などに限らず企業が経営破綻する理由はいくつかあります。

・赤字経営の容認
・経営ビジョンがない
・資金繰りのための知識不足
・キャッシュフローを確認しない

霊園や納骨堂の規模が大きくなればなるほど経営者としての手腕が問われるのは当然です。

今回のケースで明らかとなりましたが、宗教法人も例外ではなく管理運営を怠っていては資金繰りが上手くいかず破綻します。

霊園・納骨堂は、故人様の遺骨をお預かりする場所なので、超長期的な視点で経営を考えなければなりません。

とはいえ、経営母体が経営をきちんと出来ているかどうかをこれから利用検討されている方が把握するのは難しいと思います。

ですので、次はその方法についてみていきましょう。

安心できる霊園・納骨堂とは

本来、制度的に破綻しないはずの公益法人が運営する霊園・納骨堂。

しかし、実際にはそうではない例として北海道の納骨堂を上げました。

では、どのような霊園・納骨堂であれば破綻する可能性が低いのか。

一緒にみていきましょう。

許可を受けているかどうか

そもそもなのですが、無許可で霊園・納骨堂を新設したら罰せられます。

意外に思われるかもしれませんが、無許可で運営をしているところも多くあります。

納骨堂に限らず、霊園、永代供養墓であっても、6箇月以下の懲役又は5千円以下の罰金が科されます(「墓地、埋葬等に関する法律」20条1項1号)。

仮に刑罰を免れたとしても、行政指導をうけます。
・供養塔の建設工事を直ちに中止すること
・既に納めてしまったお骨を、許可を得ている場所に改葬すること

無許可運営の事例としては
・行政からの許可を得ずに永代区養墓を建てた寺院に、行政が遺骨の撤去と原状回復を求める(2015年)
・許可を得ず大阪府高槻市の寺院で納骨堂を経営した住職を書類送検(2017年)
・無許可納骨堂、15年500柱 横浜市が宗教法人を行政指導(2019年)

無論、このような場所へ納骨するのはやめましょう。

北海道の納骨堂のようなことになります。

老舗の霊園・納骨堂

ご先祖様の遺骨を預けるのに相応しい場所として、大規模な霊園・豪華絢爛なビル型納骨堂を選ぶのは注意が必要です。

一見、華やかで設備も整っていますがそれだけ投資されているということです。

そのお金はどこからでているのでしょうか。

1ヵ月にどれだけ契約されれば返済できるのでしょうか。

また、どのように回収されるのでしょうか。

災害時にどこから修繕費が出るのでしょうか。

このように考えていくと枚挙にいとまがありませんが、小規模の霊園や納骨堂よりは経営が難しいのは間違いありません。

また、費用や年間管理費も割高になりがちです。

契約当初は割安でも、数年のうちに改修やメンテナンス費用として請求される可能性があるでしょう。

このように考えると、そこまで規模も大きくなく、設備も最低限揃っている程度の所が長期的に見て安心できるでしょう。

また、そもそも長い間運営している霊園や納骨堂もよいかと思います。

近年増加しているビル型納骨堂、樹木葬などについては【】内に詳しく書いています。

経営者の方針

契約時の金額や管理方法などについて説明を聞くのは大事ですが、担当者の方に経営のビジョンなどを聞いてみるのもよいかと思います。

ただ単に儲かればよいという考え方では長期的な運営など望めません。

また、「安い」「便利」「契約率№1」というような言葉にも注意が必要です。

何故なら、長期的な運営や故人様の供養に直接的な関係がないからです。

それよりも

その霊園がなぜ霊園・納骨堂事業をしているのか。

それをすることによって社会的にどのような効果があるのか。

このようなことをスタッフが明確に発言できるところが良いでしょう。

ちなみに、拙寺では納骨堂契約などで預かったお布施(資金)の用途を明確に記しています。

下記、【お寺のハンドブック】参照

更にお寺の経営や意義についても明確に記しています。

幸教寺の使命(MVV)
【Mission】(存在意義)
私たちは仏の智慧と慈悲の実践を通じて、互いの違いを認め、尊重しあい、共生する社会の実現に貢献する。また、幸せの価値を提案する。

【Vision】(将来像)
お寺にて社会問題の共有と解決のための宗教行事(法要、作務、セミナー)をし、仏道を説いて、住民の皆さまの心をより豊かなものにする。

【Values】(行動基準)
一人にならない。一人にしない。伝統文化を大切にする。何事にも自由闊達であれ。

積極的に活動しているか

霊園や納骨堂を運営している法人が、積極的にイベントをしているかも重要です。

法要(彼岸・お盆)などの案内が郵送され、セミナーなどのイベントをしているかどうか。

これによって経営母体が霊園事業に前向きかどうかの指標となります。

ただ、維持・管理しておけばよいという経営者の姿勢は、成長性がなく組織として健全とはいえませんし、霊園事や納骨堂への参拝者の足を遠ざけてしまうことにもなります。

積極的にイベントをしている経営母体は世間の関心や流れを掴み、組織的な風通しもよく、時代に相応した経営ができるのではないでしょうか。

長期的な運営がなされている企業はこのような傾向があります。

拙寺での活動は【】内下記リンクに詳しく書いています。

おわりに

いかがでしたか。

霊園・納骨堂は大切なご遺骨をお預かりする場所だけではなく、遺された方が”いつでも故人様に会える場所”として、管理は勿論のこと参拝しやすいようにサポートをする場所でもあります。

その為には、健全な経営と明確なビジョン(MVV)が必要なのです。

このBlogが皆さまのお役立てとなりますよう今回は、反面教師として北海道の納骨堂を事例にご紹介いたしました。

是非、ご参考になさってください。

その他、終活のノウハウについても書いています。

下記リンク【】内をご参考ください。

以上、注意!こんな納骨堂には気をつけて!でした。

【お葬式、永代供養墓は生前予約がおススメ】

投稿者プロフィール

石原 政洋
石原 政洋住職
高校在学中に仏道へと入門し、早17年以上携わっております。当寺ではあらゆる角度から仏教の素晴らしさをお伝えするとともに、仏教伝来より培われてきた伝統文化と健康を共有する「体験型」寺院を目指し活動しております。ライフスタイルの多様化により、葬送や納骨などの形式が変化している近年です。終活に関するご相談も随時承っておりますので、お気軽にご相談ください。