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樹木葬より墓石がいい! そのワケとは?

樹木葬より墓石がいい! そのワケとは?

皆さんこんちは。

近年、メディアなどで取り上げられることが多くなった”樹木葬”(じゅもくそう)

この埋葬方法について以前詳しくご説明しました。

樹木葬のメリットについては4つほど上げることができます。

  • 費用が安く済む
  • 自然葬であるイメージ(自然に還る)
  • 宗派を問わない
  • 後継者のことを考えなくて良い

このような理由により樹木葬は人気です。

ただ”樹木葬”という言葉やイメージだけでご納骨を検討するのは避けていただきたいと思います。

今回は樹木葬より従来の墓石型のお墓がよい理由について書いていきます。

検討される際、判断材料として是非読んでいただきたいと思います。

樹木葬の説明と相場、メリット・デメリットについてはコチラ

永代供養付きの意味

近年、”永代供養付き”という言葉がついたお墓を霊園の広告などで見かけるようになりました。

従来の墓石を用いたお墓や、樹木葬、納骨堂などでも見かけられます。

ここでは永代供養について解説していきます。

永代供養とは

永代供養とは、お墓の管理を寺院や霊園に委託することです。

お墓参りと言えば、年末年始、お彼岸、お盆などに家族で参られる方が多いのではないでしょうか。

少なからず日常的にお墓参りをする方はあまりいないように思います。

数か月に1度のお参りだと従来のお墓の場合、草が生い茂っていたり、墓石が汚れていたりしますがこの掃除と管理を委託できるので常に清潔に保たれているのが特徴です。

また、既に納骨堂や永代供養墓などのように管理者である霊園や寺院が納骨スペースを建立している状態なので費用面を見ても

【従来のお墓の場合】

使用権+墓石代+お布施+年間管理費=金額

【永代供養付きのお墓】

使用権+お布施+年間管理費=金額

このように墓石代がかからないので比較的安価になります。

後継者の心配不要

永代供養は、お墓の跡継ぎがいなくなったときでも、永代に渡ってお墓の清掃やその供養までも親族の代わりに管理者がしてくれます。

「子どもに負担をかけたくない」「一生結婚しないかもしれない」「自分のお墓はどうしよう」など、お墓にまつわる様々なお悩みがあります。

もし、お墓の跡継ぎがいないと無縁仏(管理者がいない)とみなされご先祖様もろとも墓石撤去の対象になってしまいます。

また、親族と疎遠な場合、自分自身が不幸に見舞われ亡くなったとしても適正に遺骨を処置してくれるかどうかわかりません。

このような事態を避けることができるのが永代供養といえます。

お墓が石であるワケ

素朴な疑問ですが、お墓はなぜ”石”なのでしょうか。

世界の埋葬方法を見てみると土葬、火葬、水葬、風葬、鳥葬など色々あります。

ここではそんな疑問にお答えいたします。

埋葬の意味

そもそも遺骨を埋めたりどこかに保管することを埋葬(まいそう)や収蔵(しゅうぞう)といいます。

埋葬とは、死者を土の中に埋めることですが、どのような意味があるのかというと

1.死者に敬意を表し、死後の世界で再生、往生、復活できるように願う。

2.それらを葬儀時のみならず村単位で継続的に行うならば、埋葬は便利である。

3.遺体が道端に転がっていると、見栄えが悪いので隠すという意味がある。

4.遺体をそのまま放置しておくのは、衛生上の観点からよくない。

5.遺体の復活を恐れ、宗教的な措置をすると同時に物理的に脱出を困難にする。

このような観点で埋葬・収蔵されるのです。

詳しくは【】内もご覧ください。

なぜ石なのか

そもそもお墓に”石”を用いる文化は古代エジプトのピラミッドなどにも見られます。

石を切り出してお墓の場所まで持っていくには大変な労力がいることから”権力や富の象徴”とされていました。

仏教の開祖のお釈迦様も埋葬は火葬で、その際に残された仏舎利(お骨)を納めた塚(ストゥーパ)を築くよう弟子に言いました。

お釈迦様が亡くなられた後、残された人々の為、そして教えを遺すために仏舎利は8つに分骨されて配られ、容器と灰土を合わせて10基のストゥーパが造られました。

最初にインド統一をなしたアショーカ王(在位紀元前273~前232年頃)はそれらのストゥーパを壊して8万4000に細分化し、各地に新たなストゥーパを建設したといわれています。

その後、仏教が世界各地へ広まると、仏教の盛んな地域にもストゥーパが建てられ仏舎利を祀るようになりました。画像は、”サーンチー仏塔”といって、アショーカ王が建立したストゥーパの1つです。

このように歴史的にみて埋葬場所には”石”を用いるという文化が世界各国にあったのです。

詳しくは【】内をご覧ください。

墓石の特性

お墓の石と言えば御影石(みかげいし)という花崗岩(かこうがん)のことです。

御影石は一般的な石の中でも際立った耐久性と、研磨した際の滑らかな美しさから墓石に使用される石として利用されます。

御影石の劣化には数百年の時間を要すると言われているで、古くから墓石の建材のみならず、石碑や建物などの建材にも使用されます。

日本においては中世より現在のお墓の形になっていきました。

お墓の目印である墓標としての役割や耐久性などを考えると石材はお墓に最適な材料であると考えられます。

樹木葬より墓石がいいワケ

これまで永代供養、埋葬、墓石について解説しました。

ここで本題です。

なぜ樹木葬より墓石がよいのかについてご説明いたします。

樹木葬の注意点

永代供養付き樹木葬が人気の理由は冒頭でも書きましたが

1.費用が安く済む
2.自然葬であるイメージ(自然に還る)
3.宗派を問わない
4.後継者のことを考えなくて良い

この他、色々あると思いますが大まかにはこの4つで間違いないでしょう。

しかし、”永代供養付き”というお墓であれば納骨堂や永代供養付きの石材を用いたお墓と管理面や費用に関して大差はありません。

となると2番の”自然に還るイメージ”を選ばれるのかもしれません。

また、「故人様が自然が好きだったから」という理由もあるでしょう。

ただ、樹木葬は埋葬の際に、骨壷の状態で埋葬する場合や、カロートという納骨場所が土と明確に分けられている場合は自然に還るとは言えません。

故人様が自然に還ることを望んだ上での樹木葬ということであれば判断の難しいところでしょう。

草木の管理

樹木葬は樹木という生き物を墓標にするということで、実は管理が楽ではありません。

ガーデニング経験のある方ならわかると思いますが、花の水やり、肥料、剪定、害虫駆除などを毎日管理しなければなりません。

それに加えて台風の季節や年末などは落ち葉などで相当荒れてしまいます。

霊園を運営する業者や参拝される回数にもよりますが、お墓参りの度に落ち葉の手入れなどを頻繁に行わなければなりません。

また、シンボルツリーや花壇にしろ納骨場所を囲む庭は場合によって枯れることもあります。

シンボルツリーが売り、四季折々の花が売りなのに枯れたとなると何のための樹木葬なのかわからなくなりますね。

こういったところ樹木葬は”手入れがしづらく管理の難しいお墓”です。

手入れ、管理の楽さを選ぶなら管理者側としては永代供養墓や納骨堂の方がよいです。

その管理の手間賃は、結局管理費用という形で利用者への負担となるでしょうし、管理費が安いなら安いできちんと管理されているかどうかわかりません。

ですので、業者が手入れや枯れた時の保証をどのように請け負ってくれるのかをきちんと把握しておく必要があります。

墓石のメリット

従来のお墓において1番のデメリットは何であったかというと墓石代です。

そのデメリットをご説明したように永代供養付きのお墓はクリアしています。

更に、樹木などと違い建立すれば数百年は風化しませんし、耐震性にも優れています。

管理者がいるので管理楽で後継者不在の心配もいりません。

当寺の場合、この永代供養墓を霊園ではなく、お寺の境内に設けることによって隣接する本堂に参ることができます。

本堂に参るとはどういうことかというと、江戸時代まではお仏壇のない家が一般的でした。

そこで、当時の庶民はどうしていたのかというと、宗派問わず近くのお寺へ参拝していたのです。

このように”お墓がある場所が、そのまま信仰の場所”となり、亡き人と生きている人、更には仏教を身近に知る場所として機能するのです。

お寺の境内地にある”従来のお墓は時代遅れ”でも”永代供養墓”は決して時代遅れでも、手間隙のかかるものでもありません。

むしろ時代に相応し、安心して任せられる場所なのです。

おわりに

樹木葬より墓石がよい理由についてご説明しました。

お墓は家などよりも長期的な目線で選ばなければなりません。

景色がいいからと郊外にお墓を建立すると、自身が年老いた時に参拝できなくなる事態が起こるかもしれません。

交通の便が良い生活圏にお墓があることが1番です。

さらに言えば、管理を委託できる者がいると安心といえるでしょう。

以上、永代供養付樹木葬より墓石がいいワケでした。


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投稿者プロフィール

石原 政洋
石原 政洋住職
高校在学中に仏道へと入門し、早17年以上携わっております。当寺ではあらゆる角度から仏教の素晴らしさをお伝えするとともに、仏教伝来より培われてきた伝統文化と健康を共有する「体験型」寺院を目指し活動しております。ライフスタイルの多様化により、葬送や納骨などの形式が変化している近年です。終活に関するご相談も随時承っておりますので、お気軽にご相談ください。