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墓じまいの手順について

墓じまいの手順について

以前、ブログ内で墓じまいについて書きましたが、今回はより詳しく書いていきます。
まず、永代供養をするにあたって、現在のお墓から遺骨を取り出し、墓石を撤去して墓所を更地に戻さなくてはなりません。これがいわゆる墓じまいです。
大きく以下のような流れになります。

1.墓じまいや改葬の是非を家族・親戚で話し合う。
2.新しい移転先を決め、墓地管理人より「受入証明書」をもらう。
3.現在お墓がある管理人に墓じまいの意思を伝え「埋葬証明書」をもらいお墓を更地にする業者を決める。(この時、閉眼供養をしてもよいかお付き合い寺院へ確認)
4.現在お墓がある地域の役所から「改葬許可申請書」をもらい、役所に「受入証明書」と「埋葬証明書」を提出する。(改葬許可申請書をもらいにいく時点で「受入証明書と埋葬証明書」があるとよい。)
5.お付き合い寺院に「閉眼供養」をしてもらい、墓地管理人へ「改葬許可証」を提示し、現在のお墓からお骨を取り出し移動させ、お墓を撤去し更地にする。
6.「改葬許可証」を移転先の管理人へ提示し、「納骨式」を行い、お骨を収蔵する。

以前のブログはこちらから↓

【これからの供養を考える】

1.親族間の話し合いが最重要

一般的にはお墓を継いだご当家様(承継者)がお盆やお彼岸などに墓参りをされるかと思いますが、なかにはご親族様だけでなく友人知人が参られることもありますね。近年「スマホ一つで墓じまい」という業者もあり以前よりは手続きが楽になりましたが、そのためか親族への相談もなしにご当家様のみで決断され、トラブルになるケースをみてきました。例えば、「実家の墓に久々に来てみれば、いつのまにか更地になっていた。弁護士に相談する」「墓の世話をし、管理費用を払ってきたのに親族が墓じまいをすると言い出したので、今まで払った費用を返してしてほしい」この他も様々な相談を聞いてきましたが、共通する問題点は、「事前に何の相談もなかった」ということです。墓じまいは、その土地に住み続け生活をしてきたご先祖様の故郷を整理するという重要な意味を持っています。ご親族様にとっては誇りであり、財産なのです。ですからキチンと話し合いトラブルを未然に防ぐことが大事です。事前の話し合いをするだけで、無駄な争いを避けるという意味だけでなく、今後の親族関係も保たれ、墓じまいの作業もスムーズにできます。

2. 現在の墓地管理人に墓じまいの意思を伝え「埋葬証明書」をもらう

親族間の同意を得られれば、半分は終わったも同然です。とはいえ、勝手にお墓のお骨を動かしていいわけではありません。実は、墓地埋葬法という法律があります。
 第2章 埋葬、火葬及び改葬 第5条「埋葬、火葬又は改葬を行おうとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、市町村長(特別区の区長を含む。以下同じ。)の許可を受けなければならない。」(厚生労働省より引用)
というように、勝手にできないので指定の書類を市町村長へ提出しなければなりません。「埋葬証明書」は、現在ある墓地にきちんとご先祖様がいるという証明書です。あらかじめ証明書を取りに行ってもいいですし、電話でお願いすれば郵送してくれるかもしれません。(当寺ではご郵送させていただいております)
ここでよくある質問ですが、「埋葬証明書」をもらいに行ったら「埋蔵又は収蔵証明書」と明記されていた。ということがあります。この違いについて説明しますと
1.現在、ご遺体が土葬されている場合→ご遺骨は「埋葬」されているので、改葬、墓じまいには、「埋葬証明書」が必要。
2.現在、火葬したご遺骨がお墓の中にある場合→ご遺骨は「埋蔵」されているので、改葬、墓じまいには、「埋蔵証明書」が必要。
3.現在、火葬したご遺骨が納骨堂の中にある場合→ご遺骨は「収蔵」されているので、改葬、墓じまいには、「収蔵証明書」が必要。
この違いがおわかりいただけたでしょうか?よく似た言葉ですが、土葬は「埋葬」、火葬でお墓は「埋蔵」、火葬で納骨堂は「収蔵」となります。証明書を取りに行く場合、ただ単に埋葬地である霊園やお寺に行くのではなく、事前に菩提寺(お付き合い寺院)さんへ墓じまいの事情を説明し「閉眼供養やお参り納め」を依頼しましょう。菩提寺さんの日程に合わせるとよりスムーズです。

3. 移転先のお墓の管理人から「受入証明書」をもらう

当然、引っ越しをするには移転先が決まっていないといけません。ご当家様主導で考えてもよいでしょうが、何かとご親族様の情報が役立つこともありますので、墓じまいを検討している初期段階で探しておくとよいでしょう。そこで無事に移転先が決まれば、契約時に契約書及び「受入証明書」の発行をしてくれるはずです。(当寺はそうしております。)
※「埋葬許可証」と「受入証明書」発行の順序に関しては、どちらが先でも構いませんが、寺院境内墓地の場合、そこの住職さんに「埋葬許可証」を渋られるケースを聞きます。離檀料請求などにより作業が滞る可能性もありますので、「埋葬許可証」の取得を優先するとよいかと思います。

4.「改葬許可書」をもらう

まず、現在お墓がある地域の役所から「改葬許可申請書」をもらいましょう。申請書をインターネット上でダウンロードできるところもあります。
この時、「埋葬許可証」と「受入証明書」の持参を忘れずに!!

ここで書き方の注意点!!

1. 届出は現在のお墓のある場所の管轄役所
2. 用紙は1遺骨につき1枚なので、必要な枚数よりも多めにもらうこと(3名なら3枚)
3. 届出をする人はお墓の「使用者」
4. 届出が使用者でなければ委任状が必要
5. 故人の住所や本籍、死亡年月日などが分からなければ「不詳」でもよい
6. 年月日についてある程度わかれば○○年頃とか○○月頃という書き方で
7. 所轄の役所での改葬手続きは、後日取りに来てくださいということもありますが、郵送でも受け付けてくれることもあります。

受理されれば、「改葬許可証」が発行されます。
※この「改葬許可証」は、現在ある墓地からお骨を出すときも、移転先に納骨するときも必要になります。

【改葬許可証 見本】

5.「閉眼供養」をしてお墓を更地にする

お付き合い寺院(菩提寺)に「閉眼供養」をしてもらい、墓地管理人へ「改葬許可証」を提示し、現在のお墓からお骨を取り出し移動させ、お墓を撤去し更地にします。
私が僧侶だからという訳ではありませんが、寺院内墓地での閉眼供養やお参り納めでは、今までご先祖様をご供養していただいたご住職様や僧侶の皆様へ敬意を表してください。先祖代々ずっとご縁があった訳ですから、墓じまいのご事情を知っていても寂しいものです。
※許可申請手続きの段階では、まだお墓を更地にするのはやめておきましょう。

6.移転先で「納骨式」をする

これで最後です。
「改葬許可証」を移転先の管理人へ提示し、「納骨式」を行い、お骨を収蔵します。
当寺院ですと管理人は私になるわけですが、これまでのご親族様のご意向や、お世話してくださった菩提寺様の想いを引き継ぎ、誠心誠意ご供養させていただきます。

まとめ

親族間の同意さえあれば、半分は終わったも同然です。後は、煩雑な行政手続きを済ませれば「墓じまい」はできます。全体の期間や費用につきましては、移転先の霊園や納骨堂、撤去する石材店、菩提寺さんなどによって差があるので一概には言えませんが当寺では、永代供養(納骨式含)¥50,000~
各種、お手続きに関する資料は無料でご郵送、又はメールにて送付させていただき迅速に対応させていただいております。多くの人にとって墓じまいは人生でそう何度も経験することではないため、上記の手続きを全て自分でおこなうとかなりの時間と労力がかかりますね。しかし、今を生きるアナタへと命を繋いでくれたご先祖様です。しっかりとご供養をし、恩返しをしましょう。当寺はそんなアナタに寄り添ってご供養させていただきます。

以上、墓じまいの手順についてでした。長文拝読ありがとうございました。

投稿者プロフィール

石原 政洋
石原 政洋住職
高校在学中に仏道へと入門し、早17年以上携わっております。当寺ではあらゆる角度から仏教の素晴らしさをお伝えするとともに、仏教伝来より培われてきた伝統文化と健康を共有する「体験型」寺院を目指し活動しております。ライフスタイルの多様化により、葬送や納骨などの形式が変化している近年です。終活に関するご相談も随時承っておりますので、お気軽にご相談ください。