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コロナ禍の法務

葬儀の場合

お葬式は大切な故人との最後のお別れの場であり、阿弥陀如来の住む西方極楽浄土へと故人様が旅立たれる大事な儀式ではありますが、そのお葬式がきっかけで、遺された家族や親しい人たちが感染ということになってしまったら、どうでしょう。

そのような事態を避けるため、全国の寺社仏閣や葬儀社も消毒液を用意したり、換気やマスク着用を義務付けるなどしています。さらに、親族や参列者同志が近づきすぎないため、十分な間隔をあけて座席を用意するなどの配慮も行っているようです。

このほか、通夜振る舞いやお斎などの会食も中止したり、お弁当にして各自持ち帰ってもらうなど、お葬式という大切な時間を可能な限り保ちながら、葬儀会場のクラスター化リスクを避けるため、対策をとっているようです。

それでも、感染のリスクはゼロとは言えません。そのため、一旦はごく少人数による葬儀を行い、状況が落ち着いたら改めて本葬やお別れの会を執り行えるよう、各自工夫をされています。

さらに、葬儀式場に参列できない方も故人とお別れができるよう、動画配信によって葬儀に参列できるようなサービスを提供している葬儀社もあります。

法事の場合

こうした状況は、お葬式に限ったことではなく、る四十九日や遺骨をお墓に納める際の納骨式、一周忌や三回忌といった年忌法要などにも、感染拡大のリスクを避けるための変化が訪れています。

当寺のご門徒様の声

本堂

まず、当寺に寄せられた、法事法要に関するご門徒様の相談をご紹介します。 四十九日を行いたくても、親戚や身内が集まれずに困っている様子が伝わってきます。

  • 四十九日をしたいけど、他府県の親戚からの反対で一周忌にまとめてやることになった。主人に申し訳ないと思っている。(70代女性)
  • 四十九日は自宅ですることにしたが、親戚が大勢いて過密になるので、1人だけの参加となり残念。本当は、みんなで送ってあげたかった。(50代男性)
  • 感染を気にしない親族に法事の縮小を説明し、理解してもらうのに苦労した。(50代女性)

法事の件数は減った?

色々とお悩みが寄せられている今、四十九日や年忌法要に当寺は、実際にどのような影響があったのか。

結論を申しますと、2020年4月より法事の件数は回復しました。大阪は月に一度、ご門徒様のご自宅へ伺いお参りをする月参りの風習があるので、この時に感染予防に対する処置や工夫などを私なりにお伝えさせていただきました。時には法事開催に向けた対話を繰り返しながら、お勤めさせていただいております。

しかし、地域によって異なるかと思いますが、全国的に法事法要を行う機会が減少しているようです。こうした動きは、「コロナウイルスの感染拡大防止のため」と、ご遺族や檀信徒の方々がお寺に相談してくるだけでなく、信じられませんが、お寺側から万一の事態を避けるために、法事法要の日延べを勧めているケースもあります。

また、四十九日や一周忌など、仏教儀式である法事を家族だけを執り行い、法事の後の会食など法要は控えるというケースも増えているようです。

納骨式は?

永代供養壇「アミターユス」

では、ご遺骨をお墓に納める納骨法要にはどのような影響が現れているでしょうか。

具体的には、法事同様に読経などの儀式は執り行うが、その後の会食(法要)は避けるというケースが多いようです。

納骨式も、納骨堂などの室内ではなく、屋外の墓地や永代供養墓への納骨は特に大きな変化はないように、お墓の形態によっても納骨法要に違いが現れているようです。

また、遺族の中には、お葬式で親族が集まれなかった分、納骨の法事法要は皆で集まってきちんと執り行いたいと、あえて四十九日に納骨をするのではなく、遺骨は自宅に保管しているという方もいます。

同様に納骨自体を行わず、新型コロナウイルスが収束するまで自宅に保管するといったケースも、今後増えていく可能性があります。

安心して法要を行うポイントは?

やはり三密を避けるべきでしょう。

  • 人数を抑制する
  • 会食を避ける
  • 広い空間で行う
  • 換気を良くする
  • 手洗いなどを頻繁に行う

など、葬儀と同様に注意は必要です。

法事は延期してもいい?

四十九日や年忌法要は、故人の命日にも関係しているため、いつでも良いというわけではありません。そのため、可能であれば法事は日程にあわせて行った方が望ましいです。

ただし、コロナウイルスの感染拡大を防止するというように、やむを得ない事情がある場合は、延期もやむを得ません。特に近年はコロナウイルスなどと関係なく、お仕事や家庭の事情から四十九日に法事をすること自体が難しくなっているからです。

そして、導師(祭司)としていつも思うのが、初七日を葬儀当日にする時点で日数計算は狂っているということです。きちんと仏事をされるのであれば、初七日はご往生された命日から前日の日から七日後に勤めるということを覚えておいてください。

とはいえ、日程を延期しても、きちんと故人のことを思うことが大事です。それぞれの宗派や地域によっても考え方は異なりますが、大切なことは供養の心を忘れないことではないでしょうか。

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感染リスクを負わずに法事を行うには?

感染リスクを負わずに法事法要を行う方法として、インターネットを介して行う法事がございます。

当寺は以前から、インターネットで法話を行ったり、悩み相談などを受け付けておりましたが、今回のコロナウイルスの感染拡大を受け、より多くの寺院がインターネットを活用して、法事に取り組もうという動きがあります。

当寺では、パソコンやスマートフォンを使って、セミナーやミーティングをオンラインで開催するアプリ、ZoomやLINE電話を活用してLIVE配信を行ったり、法事の模様を動画撮影し、YouTubeの限定公開で、ご遺族にURLをお送りするなどしています。(詳細はお問合せください)

LIVE配信アプリや動画を通じて行う法事に疑問の声もあるかとは思いますが、「したいのにできない」事態を避ける為に、いち早く取り組んでおります。こうしたインターネットを活用した法事は、コロナウイルスなどの災害にも有効なので今後、広がっていく可能性があります。

まとめ

本来であれば法事の延期は望ましくないと思われていますが、大切なことは故人を思う気持ちです。こうした思いに応えるために、当寺では、インターネットで行う法事も行っています。

一方で、法事には、親戚たちが顔を合わせ、近況を確認しあうといった役割もあります。新型コロナウイルスが収束したら、お互いの無事を確認する意味でも、故人のため法事を行ってください。

投稿者プロフィール

石原 政洋
石原 政洋住職
高校在学中に仏道へと入門し、早17年以上携わっております。当寺ではあらゆる角度から仏教の素晴らしさをお伝えするとともに、仏教伝来より培われてきた伝統文化と健康を共有する「体験型」寺院を目指し活動しております。ライフスタイルの多様化により、葬送や納骨などの形式が変化している近年です。終活に関するご相談も随時承っておりますので、お気軽にご相談ください。