おひとりさま必見!! もしもの時の終活
皆様こんにちは。
最近、独身のご門徒(檀家)様からこのようなご相談を受けます。
「自分の死後、行政手続きなどを誰にどのように頼めばいいか教えてほしい」
「孤独死するとどうなるのか?」
「何だかわからないけれど老後について漠然とした不安がある」などです。
社会の変化と共に家をはじめとする”組織”から”個人”の考えが尊重されるようになった時代です。
宗教でいえば、「先祖代々〇〇教〇〇宗だけれど自分は〇教徒という自覚はない。自分で信じたいものを信じる」というものや、会社組織でいえば、終身雇用により生活や人生までもが保証されていた昭和に比べ、それらが崩壊した現代では「自身のキャリアアップのための就職」として一つの企業に働き続けるという考え方はなくなりました。
”個”が尊重される時代においては、ライフスタイルなども多様化するので就職→結婚→出産→マイホーム→老後といった昔の価値観は通用しません。
このような背景から生涯未婚率も年々上昇しています。
そうすると上記のようなご相談が増えてくるのは当然でしょう。
孤独死とは、主に一人暮らしの人が、誰にも看取られることなく、その人の住居内などで亡くなることをいいます。
「令和3年版高齢社会白書」によると、60歳以上の高齢者で、現在住んでいる地域での付き合いの程度について、「あまり付き合っていない」「全く付き合っていない」とする人は、女性が37%なのに対して男性は65.7%となっています。
また、孤独死を身近な問題だと感じる人の割合は、60歳以上の高齢者全体では34%ですが、一人暮らしの場合は50.7%と5割を超えている状況です。
つまり、一人暮らしの高齢者の5割超が孤独死を身近な問題と感じているのです。
(参考:令和3年版高齢社会白書 2節 4 生活環境 )
孤独死の不安を抱えるのは、高齢者だけではありません。
生涯未婚率が高いゆとり世代や団塊ジュニア世代では、孤独死の不安を持つ人も多くいます。
このような現代、もし孤独死した場合に遺骨はどうなってしまうのでしょう。
この記事では、孤独死した場合にお墓はどこに入れられるのか。
また、孤独死した場合への備えについてご紹介していきたいと思います。
孤独死したらどうなる?
また、考えていたとしてもそれを口に出したり、深く考えたりする人は更に少ないでしょう。
ここでは、実際に私が見聞した内容を簡素にお伝えいたします。
親族がいる場合
そして、葬儀、納骨は引き取った遺族が行うことになり、原則それらにかかる費用は喪主負担となります。
しかし、遠方で独り身の親戚や、そもそも親族間の付き合いがない場合は拒否されることもあります。
そもそも、遺体引取義務が誰にあるかということを明確に定めた法律はなく、また、そのことを明確に判示した裁判例も見当たりません。
しかし”遺体は誰が引き取るべきか”という価値判断を窺わせる法規は存在します。
後述する生活保護法には、死者の葬祭を行う扶養義務者がいないことを条件に葬儀等の費用を扶助するという規定があります。
ここにいう扶養義務者とは、配偶者、直系血族(親や子など)、および兄弟姉妹などを指します(民法第 752 条、第 877 条)。
また、戸籍法第 87条は、死亡届の提出義務を、同居の親族、その他の同居者、および家主等が負うと規定しています。
法的な強制力はありませんが、これらの者に対して遺体の引き取りを求めることになります。
しかし、その後の葬儀や納骨の判断はあくまでも遺族となります。
親族がいない場合
遺骨は、誰も引き取り手がない場合は、火葬後一定の保管期間を経て、「無縁墓」に埋葬されます。
病院での死亡の場合は、医療機関の所在する市町村に引き取りを求めるか、入院申込書等に書かれる身元引受人が引き取ることになります。
この対応の根拠となる規定は、「墓地、埋葬等に関する法律」です。
同法第 9 条では、「死体の埋葬又は火葬を行う者がないとき又は判明しないときは、死亡地の市町村長が、これを行わなければならない」とされています。(同条第 1 項)
市町村からは、遺族の存在や引き取りの意思の有無など、事情を問われますので、円滑に手続きを進めるためにも、説明できるようにしておくことが望ましいでしょう。
なお、この場合の埋葬・火葬費用には、患者の遺留した金銭等が充てられることとされています。(同条第 2 項、行旅病人及行旅死亡人取扱法第 11 条)
したがって、患者が遺留した金品は、市町村長に引き渡すことになります。
※無縁墓とは弔う縁者のいない死者のためのお墓のことを言います。万人塚や無縁塔、無縁塚とも言われます。
孤独死の発見から火葬までの流れ
親族の有無に関わらず、孤独死した時の状況にもよりますが、遺体はすぐに亡くなった市町村管轄の斎場で火葬することが多く、お骨の状態で遠方などの遺族に引き渡されるのが一般的です。
孤独死の発見
1.遺体が腐敗する匂いで近所の人が気づく。
2.家族が訪問した際に発見される。
孤独死と思われる状況が発見されるとすぐに救急車と警察車両が呼ばれ、救急隊員が生死を確認し、事件などの可能性については警察が捜査します。
警察の捜査は、まず検視場検証が行われます。
家宅捜索も行われて金品などは一時的に没収されます。
この時、部外者は現場検証が終わるまで現場に立ち入ることはできません。
なお、検死はそれぞれ(検視、検案、解剖)にわかれていて、発見当時の現場から事件性の有無を捜査します。
主治医がいて、病死か自然死であることがわかれば解剖までされることはないかもしれませんが、後期高齢者で事件性のないことが目視できる程の状況でもない限り”解剖される”と思って間違いないでしょう。
司法解剖は、かなり細かく調べられますので当然ながらメスで体を開かれ臓器内も調べられます。
このようにして事件性の有無を検死によって明らかにし、なおかつ身元が判明し、遺族がいる場合は、すぐに死体検案書と遺体を遺族に引き渡されます。
警察は、公的書類や契約書などから遺族関係を調べ、親子、兄弟、そして親戚などへ血縁関係の近い順に連絡をします。
すぐに身元が分からない場合はDNA鑑定なども行います。
身元がすぐに判別しない場合は遺体は専用の保管庫にて保管されます。
保管料は有料で、一泊数千円程度が相場となり、その保管料は遺族に請求されます。
遺族が見つからない孤独死の場合は、上記の通り市町村管轄の斎場で火葬されます。
火葬
公営の火葬施設を使用した場合、住民登録している自治体の方が費用が安く、他の地域に搬入すると割高になるという事情があるからです。
また、遺体を搬送する場合は一般車両で行うことができないため霊柩車を手配する必要がありますが、遠距離になればその費用も大きくなります。
このように霊柩車の費用や、発見までに時間がかかった場合は腐敗が進んでしまっていることから、衛生上すぐに火葬することになるわけです。
ちなみに、葬儀をされる場合、祭壇前に棺などはなく代わりに骨壺が置かれます。
以下、孤独死について詳しいレポートがありますのでご覧ください。
孤独死する前の備え
しかし、それでも1つだけわかることがあります。
それは、間違いなく周りの人たちに迷惑をかけてしまうということです。
また、残された遺族は大変な思いをすることでしょう。
それでは、孤独死した場合にできるだけ迷惑を避ける方法とは何でしょうか。
結論は2つです。
1.終活
終活はもともと自分の死と向き合い、最後まで自分らしい人生を送るための準備のことです。
人生の終点を見つめ、そこから逆算しより良い人生を歩むための事前準備とも言えます。
終活をしっかりと行い、今後の人生を”どのように生きるのか”を考え、更には残された遺族の方々への負担をも減らすことができます。
2.生前予約
本人が生前に、自分の葬儀について葬儀社で見積もりを取ったり、永代供養などを決めておく「生前予約」が普及してきています。
生前予約をし、その旨を親族及び親しい人に伝えることで、遺志を反映することができ、何よりも残された方への負担軽減に確実に繋がることになります。
これは跡継ぎがいない、身寄りがないといった場合も同様です。
ちなみに、永代供養墓とはお墓のお世話や供養がお寺が行ってくれるお墓のことで、個人墓や夫婦墓として使うことができます。
永代供養墓については下記リンクをご覧ください。
死後事務委任契約
そのような方へは「死後事務委任契約」を結ぶことをお勧めいたします。
死後事務委任契約とは死後の事務手続きを委任し希望通りにするための契約です。
委任する内容としては、以下のようなものがあります。
・葬祭、埋葬の手続き
・死亡についての周知
・遺品整理
・生前での未払い分費用の生産 など
費用や手間が心配な方は、友人などでも依頼できます。
確実に遂行したい方は、司法書士や弁護士など法律のプロに依頼することです。
お住いの近くの公証役場に問い合わせるのもよいでしょう。
下記リンクは東大阪市の公証役場HPです。ご参考にどうぞ。
手間を省くエンディングノート
作成することによって遺族や周りの人への負担を大きく減らすことができます。
エンディングノートは、一般的にいう遺言書や遺書とは異なるものです。
遺言書とは、自分に万一のことがあった場合に、財産(遺産)を誰にどれだけ渡すか、事業や不動産などの管理を誰に託すかといったことを生前に取り決めた意思表示を、民法の規定に従って書面に残したものを言います。遺言書の内容は、法的効力があるため、相続をスムーズに進め、加えて、相続トラブルを防止するために作成されることが多いです。
遺書とは、死を前提に、自分の気持ちを家族や関係者に記したものを言います。
主に、故人の心情について書かれた最後のメッセージで、遺言書のような遺産については書きませんし、また書いてあったとしても法的効力は発生しません。
遺言書が「死後の財産分与」、遺書が「最後のメッセージ」だとすれば、エンディングノートとは「人生の記録」といえるでしょう。
そのため、遺言書のように法的効力はありませんし、遺書のように死に特化した内容である必要もありません。
エンディングノートに書く内容は、その性格上、最初に終末期医療についての対応や葬儀への希望、友人や知人などへの連絡先、貯蓄・保険・年金・その他の貴重品の情報など、突然死亡したときにでも家族や関係者が困惑しないための情報を書いておきましょう。
それらを書き終えたらその後は何を書いても自由です。
公式な書類ではありませんので、死後に伝えたいことや今の気持ちなどを、気持ちを楽にして書いておきましょう。
ちなみに、『遺言書』についての正しい手順は下記リンクをご覧ください。
まとめ
そのなった場合の対策を事前に立てておくことが重要なことであることをご理解いただけたと思います。
特に、葬儀の見積もりやお墓の生前予約については知っていても後回しにしたいことでしょうし、死後事務委任契約やエンディングノートなどは、まだまだ知らない人も多いので是非調べてみてください。
エンディングノートには、財産・お墓・供養などの遺族になってしまったら高い確率で悩んでしまう部分について触れていくことになるので、お墓に関するトラブルも減らすことができるようになりおススメです。
最後に、当記事に関する内容でご相談などございましたら当HP内までお問い合わせください。
また、終活座談会も毎月20日に開催しておりますのでご相談ください。
投稿者プロフィール
- 住職
- 高校在学中に仏道へと入門し、早20年以上携わっております。当寺ではあらゆる角度から仏教の素晴らしさをお伝えするとともに、仏教伝来より培われてきた伝統文化と健康を共有する「体験型」寺院を目指し活動しております。ライフスタイルの多様化により、葬送や納骨などの形式が変化している近年です。終活に関するご相談も随時承っておりますので、お気軽にご相談ください。
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