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「御朱印とフィットネスと仏教と─幸教寺の現代的アプローチ」

「御朱印とフィットネスと仏教と─幸教寺の現代的アプローチ」

大阪市生野区、この土地は古代より 猪飼野(いかいの) と呼ばれ、日本の歴史の深層を静かに抱えながら、人々の暮らしを支えてきました。

猪飼野のはじまり 猪甘部と大陸文化を受け入れた土地

猪飼野の名は、かつてこの地に置かれた猪甘部(いかいべ)・猪飼部 に由来します。

猪甘部は、朝廷に献上するための猪(豚)。

ここでは大陸から伝わった豚を飼育した人々であり、その営みによって、この地は「猪飼野」と呼ばれるようになりました。

古代には多くの「渡来人」がこの土地に住みつき、上町台地の東麓一帯は 百済野(くだらの) とも呼ばれていました。

彼らがもたらした文化や技術は、のちの大阪文化の礎の一つとなります。

百済川と猪甘津 古代の港が育んだ物語

平野川はかつて 百済川 と呼ばれ、百済から来た人々の足跡を今に伝えています。

その河口付近には 猪甘津(いかいのつ) という港が栄えていました。

日本書紀・仁徳天皇14年(326年)の条には

「猪甘津に橋をわたす」

とあり、この地が古代から交通の要衝であったことがうかがえます。

この橋はのちに鶴がよく飛来したことから鶴橋(つるのはし) の地名の元となりました。

平安時代の歌人・小野小町がこの橋を詠んだ歌も伝わり、人々の往来と歴史の息づかいを今に残しています。

【つるのはし跡】

御幸森天神宮 天皇が休まれた森

幸教寺のすぐ近くには、古社御幸森(みゆきのもり)天神宮があります。

伝承によれば仁徳天皇がこの地で鷹狩をされ、半島からの渡来人の暮らしを見聞される中で、たびたびこの森で休息されたことから「御幸(みゆき)の森」と呼ばれるようになったと伝えられています。

まさに、この地域は古代より文化が交わり、人が行き交い、祈りが息づく場所でした。

【御幸森天神宮】

寺号「幸」の由来 御幸森からいただいた一字

先代住職より幸教寺の「幸(こう)」は、この御幸森の「御幸(みゆき)」から一字いただいたものです。

地域の長い歴史を受けつぎ、天皇ゆかりの森の名を胸に、「めぐみ」「やすらぎ」「光明」 をお届けする場所でありたい。

そんな願いを込めて、1953年(昭和28年)に幸教寺と命名されました。

寺の名そのものが、地域とのご縁の証であり、まちの歴史とのつながりを表しています。

市街化の波とともに誕生した幸教寺

大正末期から昭和初期にかけ、鶴橋周辺は耕地整理によって農村から市街地へと一気に変貌しました。

平野川沿いからお車でお寺へ来られる際に通る橋の名は「耕整橋」と命名されています。

その大きな転換期の中で、昭和6年には幸教寺の前身である御幸森説教所が建立され、地域の人々の精神的支えとなってきました。

大戦中には空襲の際、焼夷弾が3発も説教所に落ち本堂焼失の脅威にさらされました。

そして1953年、戦後復興のさなかに幸教寺 として開創。

長い歴史を生きるこの土地に、新たな祈りの場として根をおろしました。

住職として大切にしていること お寺を“地域のコモンズ”へ

私は、幸教寺を地域の“コモンズ(共有地)” として開いていきたいと願っています。

かつてのお寺や神社は、祈りだけでなく、集い、語りあい、子どもたちが遊ぶ「まちの中心」でした。

いま一度、お寺が地域の安心・安寧を支える・公共のリビング・心の避難所であればと考えています。

仏教では「応病与薬」という喩えがあります。

お釈迦様は、人々の悩みに応じ、その人に合った“心の薬”を処方されました。

幸教寺も、現代に生きる皆さまに応じ、「心が軽くなる仏教」を丁寧にお届けしたいと願っています。

御朱印 ご縁のしるしをやさしく形に

令和5年から授与を始めた御朱印には、

やわらかな表情の阿弥陀如来と境内の山茶花の足元に佇む2匹の石のカエルをあしらいました。

カエルには「無事にかえる」「またここにかえる」という願いを込めています。

限定御朱印では金色を使用し、心が明るくなる“光明”を表現しました。

御朱印は、旅の途中や日常の隙間でふと訪れた“ご縁”の証。

どうぞ気軽にお立ち寄りください。

お寺の中のジム XI.FITNESS の設置には理由があります

幸教寺には パーソナルジム XI.FITNESS が併設されています。

「お寺にジム?」

と驚かれますが、現代のお寺にとっては自然なことです。

人生100年時代。

大切なのは寿命より健康寿命です。

高齢の方のお悩みで一番多いのは、足腰の衰え。

自己流の散歩で逆に痛めてしまうこともあります。

負荷調整ができるマシントレーニングは、安全かつ効果的です。

専門トレーナーと連携し、初めての方にも丁寧にサポートしています。

仏教には 身心一如(しんじんいちにょ) の教えがあります。

身体を整えることは、心を整えること。

運動はストレスの軽減にも大きな効果があります。

コリアタウンを訪れる若い方にも、どうか“心と身体の健康”という観点から気軽に利用していただければと思います。

【XI.Fitness】

幸教寺の未来 地域の安心拠点として

幸教寺では、「居場所・健康・安心感」をテーマに、本堂で健康イベント・相談会・ヨガなどを定期的に開催しています。

お寺を、カフェのように入りやすく、リビングのように落ち着け、公共の場のように誰にでも開かれた場所として育てていきたいと思っています。

大阪コリアタウンから徒歩3分足らず。

食べ歩きや観光のあとに、どうぞお気軽にお立ち寄りください。



ここ猪飼野で重ねられてきた歴史と、このまちで生きる皆さまのいのちの営みに、仏さまの光明がそっと届きますように。

ご縁が結ばれることを、心より願っております。

【大阪コリアタウン】

投稿者プロフィール

石原 政洋
石原 政洋住職
高校在学中に仏道へと入門し、早20年以上携わっております。当寺ではあらゆる角度から仏教の素晴らしさをお伝えするとともに、仏教伝来より培われてきた伝統文化と健康を共有する「体験型」寺院を目指し活動しております。ライフスタイルの多様化により、葬送や納骨などの形式が変化している近年です。終活に関するご相談も随時承っておりますので、お気軽にご相談ください。