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【お知らせ】四天王寺聖霊会舞楽大法要に出仕いたします

【お知らせ】四天王寺聖霊会舞楽大法要に出仕いたします

― 日本最古の仏教儀礼に息づく祈りと芸能 ―

皆さま、こんにちは。

このたび、たいへん光栄なご縁をいただき、令和7年4月22日12時30分~17時00分頃に四天王寺で営まれる「聖霊会舞楽大法要(しょうりょうえぶがくだいほうよう)」において、龍笛奏者として出仕させていただく運びとなりました。


私は今回、雅楽の代表的舞楽である「太平楽」をはじめ、「振鉾」「伽陀」という重要な曲目において主管(主奏者)を務めさせていただきます。

【四天王寺HP】https://www.shitennoji.or.jp/event/4/


◆ 「聖霊会舞楽大法要」とは?

「聖霊会」は、日本仏教の黎明を築かれた聖徳太子のご命日(新暦4月22日)に、そのご遺徳を偲び供養するために執り行われる法要です。


その舞台である四天王寺は、太子が自ら建立を誓われた日本最初の官寺であり、仏教と芸能が融合した文化発信の原点とも言える場所です。

この法要は、声明(仏教声楽)・講式・読経の合間に、笙・篳篥・龍笛の音が響き、舞楽が奉納される荘厳な仏教儀礼として知られ、昭和51年には「重要無形民俗文化財」に指定されています。


◆ 担当曲目とその背景

今回、私が主管として出仕するのは以下の3曲です。

◎ 振鉾(えんぶ)

舞台開きの曲であり、楽人・舞人が祈りの場へと身を清め、天地を結ぶ所作を行います。

龍笛の音が、空間を浄める先導の役割を果たします。

◎ 伽陀(かだ)

声明と雅楽が交わる稀有な曲です。聖徳太子を讃える偈文(七言四句)を僧侶が唱える中、笙・篳篥・龍笛が「付物」として奏でられます。

日本でこの形式が現存するのは四天王寺のみであり、極めて貴重な演奏形態とされています。

◎ 太平楽(たいへいらく)

唐楽に属する左方の武舞で演奏時間は50分にも及ぶ曲です。朝小子(ちょうこし)・武昌楽(ぶしょうらく)・合歓塩(がっかんえん)の三曲から成り、鉾を持ち、太刀を抜き、平和と安寧を祈願する壮麗な舞です。

古くは「武将破陣楽」(ぶしょうはじんらく)とも呼ばれ、儀礼の中でも特に格式ある演目のひとつとされています。


◆ 幸教寺の文化発信として

幸教寺はこれまで「100歳まで歩いて通えるお寺プロジェクト」や「まちの保健室」など、地域に開かれたお寺としての活動を重ねてまいりました。


そして今、私は僧侶としての役割に加え、日本の宗教文化と伝統芸能の継承者のひとりとして舞台に立たせていただきます

このような伝統行事に出仕することは、仏教文化の正統を継承しつつ、地域のお寺が持つ文化的価値を再認識する機会になると確信しています。

四天王寺という聖徳太子ゆかりの地において、千年にわたり絶えることなく受け継がれてきた祈りと音を、現代に響かせること。


それは、都市部にある現代のお寺であっても、たしかに「文化を育む場」であり得るという証でもあります。


◆ 最後に

雅楽の音は、目には見えずとも、深く心に届く力を持っています。
私は今回の舞台において、一音一音に心を込め、仏さまへの祈りと、現代を生きる私たちの平和を願う気持ちを込めて吹奏させていただきます。

どうか皆さまも、四月の聖霊会にて、千年を超える祈りの響きに触れていただければ幸いです。

※予約不要・観覧無料

【昨年度の聖霊会動画】

投稿者プロフィール

石原 政洋
石原 政洋住職
高校在学中に仏道へと入門し、早20年以上携わっております。当寺ではあらゆる角度から仏教の素晴らしさをお伝えするとともに、仏教伝来より培われてきた伝統文化と健康を共有する「体験型」寺院を目指し活動しております。ライフスタイルの多様化により、葬送や納骨などの形式が変化している近年です。終活に関するご相談も随時承っておりますので、お気軽にご相談ください。