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菩提寺とのトラブルを避けるためのガイド

菩提寺とのトラブルを避けるためのガイド

日本において、菩提寺(お付き合い寺院)は各家庭における宗教儀礼の執行者として機能してきました。

江戸時代には檀家制度が確立され、多くの家庭が特定のお寺と結びつくこととなりました。

この制度は、地域社会の宗教的な結びつきを強め、家族の絆を深める一方で、現在でもその影響が色濃く残っています。

現代においても、菩提寺は家族の宗教的なアイデンティティを象徴する場所として重要です。

しかし、ライフスタイルの変化や家族構成の変化に伴い、菩提寺との関係が希薄になるケースも増えています。

そのため、葬儀や供養の際にトラブルが発生することがあります。

この記事では、相談事例、法要等の準備と流れ、解決策について詳しく探ります。

相談事例

ここでは実際にご相談いただいた内容を基に、解決策となるヒントを記載します。

異なるお寺で法名を受け葬儀をするケース

菩提寺があるにもかかわらず、別のお寺で法名(戒名)を受けて葬儀をするケースがあります。

納骨の段階になって初めて菩提寺の存在を知り、宗派や戒名の関係から、納骨だけを菩提寺でしてもらうことが難しいことがあります。

その結果、法名や葬儀のやり直しをしなければならなくなり、多大な費用と時間がかかることになります。

解決策
1.事前確認:葬儀や法名の手配をする前に、家族や親戚に菩提寺の存在を確認します。事前に把握することで、後々のトラブルを防ぐことができます。

2.菩提寺との連絡:菩提寺がある場合、必ず最初に連絡を取り、相談を行います。遠方であっても、同じ宗派の別の寺院を紹介してもらうなどの対応が可能です。

3.相談と調整:葬儀社や菩提寺と緊密に連携し、日程や手続きをスムーズに進めるため事前見積もりなどの相談と調整を行います。

院号や戒名を依頼した場合

高額な院号や法名(戒名)を請求されるケースがあります。

法名の位が高いことが、必ずしも良いわけではありません。

戒名は仏門に入った証として授与されるものであり、功績やお布施の額で決まるものではありません。

あくまでも故人の信仰とお寺への貢献度に応じて授与されるものです。

解決策
1.菩提寺との相談:戒名を受ける際に菩提寺とよく相談する必要性があります。個人の信仰やお寺への貢献度を考慮した上で、なるべく生前に妥当な法名を受けることが重要です。

2.現実的な期待:法名の位に関する現実的な期待を持ち、無理をしない範囲での希望を伝えるようにします。

3.コミュニケーション:家族と菩提寺とのコミュニケーションを大切にし、納得のいく戒名を受けられるように心掛けます。

院号についての補足

院号授与されるということは、お寺の護持発展に貢献するということでもあります。

故人の配偶者や兄弟も同じ位の法名を受けることになりますから、そのたびに高額のお布施が必要になるのも重要なポイントです。

故人一人の位だけを高くすることもできますが、夫婦なら連名で同じにされる方も多いのが実情です。

法名とは、あくまでも仏門に入った証として受けるものであり、高い位が偉いといったようなものではありません。

宗派や菩提寺によって料金(冥加金)の相場は異なりますので、法名を受ける際には菩提寺とよく相談して、故人にとって妥当な法名を受けるのがよいでしょう。

ちなみに、浄土真宗本願寺派の場合は、生前に法名を授与してもらうのに、おかみそり(帰敬式=ききょうしき)という儀式を本山西本願寺で行います。

しかし、何らかの理由で生前に法名授与されなかった方のために、菩提寺の住職が御手替わりとして葬儀に法名を授与するのです。

本山での帰敬式費用は成人1万円、未成年なら5000円。法名の「釋○○」の二文字で好きな文字や名前の希望がある方は、2か月前までに菩提寺の住職からの申請が必要となり、別途1万円が必要です。

以下、帰敬式については【】内、西本願寺HPを参照

お布施の相場とトラブル

上記内容にはお布施などの金銭トラブルが絡んでいます。

お布施の適正額は、基本的には家族の経済状況やお寺との関係によります。

お布施は感謝の気持ちを示すものであり、無理をして高額を包む必要はありません。

トラブル事例としてよくあるのが、「葬儀や法要の際に要求されたお布施の額が高すぎて支払えないと感じ、僧侶に相談したものの、納得のいく回答を得られずお寺との関係が悪化した」というものです。

解決策
1.事前相談:お布施の額については、事前に僧侶に相談し、無理のない範囲で包むようにします。お布施はあくまで感謝の気持ちを示すものであるため、無理をする必要はありません。

2.柔軟な対応:お寺が要求する額が高すぎる場合、率直に相談し、柔軟な対応をお願いすることが重要です。僧侶も家族の状況を理解し、適切な対応をしてくれるはずです。

3.関係の見直し:もしもお布施の額でトラブルが生じ、解決が難しい場合は、お寺との関係を見直すことも一つの選択肢です。

そもそもお布施の金額には厳密な決まりがあるわけではないため、無理をして高いお布施を包む必要はありません。

お布施はあくまでも気持ちで、自身が価値があると思う金額をお寺に収めるのが古来の習わしですから、要求された金額を支払うのが難しい場合は、僧侶に相談することが大切です。

もしも、要求された金額を支払えないことで僧侶から文句を言われるようでしたら、その菩提寺との関係を見直す必要があります。

葬儀・法要の具体的な流れと準備

葬儀の具体的な流れ

1.菩提寺への連絡
葬儀が必要となった場合、まず最初に菩提寺に連絡を取ります。遠方にある場合でも、葬儀の日程や場所を調整し、可能な限り菩提寺の僧侶に来ていただくよう手配します。

2.葬儀社との打ち合わせ
菩提寺と連携して葬儀社と打ち合わせを行います。仏教の儀式に従った葬儀の準備を進め、必要な物品やサービスを手配します。

3.葬儀の実施
通常、通夜→葬儀告別式→火葬の順に行います。通夜では故人を偲び、葬儀告別式では正式な別れの儀式を行います。火葬後には、納骨までの手続きを行います。

4.納骨
火葬後、遺骨を菩提寺または希望する墓地に納骨します。納骨式では僧侶による読経が行われます。

葬儀のトラブル事例

ある家庭で、菩提寺の存在を知らずに別のお寺で葬儀を行いました。

納骨の段階になって初めて菩提寺の存在を知り、結果として葬儀のやり直しや多額の費用が発生しました。

このようなトラブルを避けるためには、事前に菩提寺の存在を確認し、必ず相談することが重要です。

具体的なチェックリストを作成し、家族で共有することが推奨されます。

解決策
1.事前確認:葬儀や法名の手配をする前に、家族や親戚に菩提寺の存在を確認します。事前に把握しておくことで、後々のトラブルを未然に防ぐことができます。

2.菩提寺との連絡:菩提寺がある場合、必ず最初に連絡を取り、相談を行います。遠方であっても、同じ宗派の別の寺院を紹介してもらうなどの対応が可能です。

3.相談と調整:葬儀社や菩提寺と緊密に連携し、日程や手続きをスムーズに進めるための相談と調整を行います。

法要の具体的な流れ

葬儀と違って法事では準備期間がある程度明確となりますのでトラブル事例はさほど多くはないものの、流れを理解しておくと準備がはかどるでしょう。

1.法要の計画
四十九日、一周忌、三回忌などの法要を行う際には、事前に菩提寺と相談して日程を決めます。できれば通夜、葬儀など親族一同が会する時が望ましいでしょう。家族や親族と連携し、出欠確認を行います。

2.準備と案内
法要のための準備を行い、必要な物品(お供え物、花、供物など)を揃えます。参加者に案内を送り、詳細なスケジュールを共有します。

3.法要の実施
菩提寺の本堂やご自宅、墓前で法要を行います。僧侶による読経や法話が行われ、故人の供養を行います。

4.会食
法要後には、参加者全員で会食を行うことが一般的です。故人を偲びながら、親族や友人との交流を深めます。

まとめ

いずれにせよ、鍵を握るのは事前相談であることを強調いたします。

上記内容を踏まえて、トラブルを避けるためのポイントをまとめます。

1.菩提寺の確認:家族や親戚に確認し、自分の家に菩提寺があるかどうかを把握します。

2.事前相談:葬儀や法要の前に必ず菩提寺と相談し、適切な対応を確認します。

3.お布施の柔軟な対応:お布施の額については無理をせず、僧侶と相談し、納得のいく金額を包みます。

4.コミュニケーション:菩提寺とのコミュニケーションを大切にし、トラブルを未然に防ぐようにします。

幸教寺ではある程度お布施の明瞭化しておりますが、サービス料ではないので厳密に決まっているわけではありません。

ですので、メールでもお電話でも必ず事前相談させていただいております。

【】内よりいつでもご相談ください。

【お問い合わせ】

投稿者プロフィール

石原 政洋
石原 政洋住職
高校在学中に仏道へと入門し、早20年以上携わっております。当寺ではあらゆる角度から仏教の素晴らしさをお伝えするとともに、仏教伝来より培われてきた伝統文化と健康を共有する「体験型」寺院を目指し活動しております。ライフスタイルの多様化により、葬送や納骨などの形式が変化している近年です。終活に関するご相談も随時承っておりますので、お気軽にご相談ください。