BLOG ブログ

自宅で供養されるメリット・デメリット

皆さんこんにちは。

関西では月に一度、ご自宅のお仏壇の前で読経する「月参り」という習慣があります。

お参りのため仏壇の前に座ると、四十九日や一周忌を過ぎても自宅に遺骨を置いたまま供養されているところがあります。

何故そのまま置いているのかというと、「故人と離れがたい」ということが多く挙げられますが、少子化が進む現代では、お墓を建立せずに自宅を供養の場として割り切ってしまうということもあります。


今回の記事では、自宅で遺骨を安置されている「通称 自宅供養」について書いていきます。

自宅供養とは

自宅供養とは、自宅に遺骨を安置して供養することを言います。

その行為自体、特に珍しいということはありません。

お墓やお仏壇があっても一定期間、ご自宅で供養されるのが一般的だからです。

後で詳しく書きますが、今までであれば後飾り壇、仏壇等へご遺骨を安置されていましたが、最近ではそのような礼拝対象のない状態でご安置をされているところもあります。

例えば、火葬場から持ち帰ってきた骨壺をそのまま家に置いておくこともありますし、専用の自宅供養グッズを改めて用意されることもあります。

自宅供養と手元供養の違い

自宅供養といった場合は、火葬場から持ち帰った遺骨を自宅に安置することを言います。

対して、手元供養は持ち帰った遺骨をさらに分骨して供養する場合に使います。

分骨とは、ご遺骨を2か所以上に分けて供養することです。

また、手元供養と言った場合は、お骨を細かく粉骨してアクセサリーやキーホルダーなどを使って供養品を身に着けるものも含めます。

分骨については下記リンクにて詳細に書いてますのでご覧ください。

自宅供養は違法ではない

当然ながら、遺骨を自宅に置き続けることは違法ではありません。

お墓や遺骨については、「墓地、埋葬等に関する法律」(以下、墓埋法)で定められています。

墓埋法では、行政が経営を許可した墓地以外に遺骨を埋葬することを禁止しています。

例えば、家の庭にお墓を作って遺骨を埋葬すると違法になります。遺骨は経営許可された墓地や霊園に埋葬しなければなりません。

ただし、遺骨をいつまでに埋葬する、といった期限は墓埋法では定められていません。

したがって、自宅でずっと遺骨を保管しておくことで法規定に違反することもありません。

自宅供養の方法

自宅供養をするといっても、ここ近年は選択肢もたくさん増えてきました。

どんな方法があるのでしょうか?

ここでは、自宅供養のパターンを大きく3つに分けて紹介します。

骨壺のまま管理

火葬場で遺骨を入れてもらった骨壺のまま安置します。

場所は仏間、特に仏壇の前や隣に台を設けるのがベターです。

仏間(和室)が無い場合は、家族のよく集うリビングや、いつも一緒にいれる寝室などに安置される方が多いようです。

骨壺は寒暖差で結露すると内部に水がたまるので、直射日光の当たらない風通しの良い場所に安置されてください。

そうしないと、ごくたまにカビが生えることもあります。

いないとは思いますが、湿気がたまりやすい押し入れ、水回りには置かないようにしてください。

後飾り祭壇を使い続ける

骨壺のまま安置する場合でも、後飾り祭壇(中陰壇)を使い続けて供養する方法です。

後飾り祭壇(中陰壇)とは、命日から四十九日まで自宅に置いておく白木の祭壇で、主に葬儀社さんのセットプランなどに盛り込まれています。

後飾り祭壇(中陰壇)には、骨壺や白木位牌、遺影、その他お供えを置きます。

通常、後飾り祭壇(中陰壇)は四十九日を目処に葬儀社さんに引き取られ、遺骨はお墓に納骨、白木位牌は僧侶がお預かりして、その位牌の代わりとなる過去帳に法名などを記載し仏壇に置きます。

ただし、納骨と同様、後飾り祭壇(中陰壇)をいつまでに撤去しなければならないという決まりはありません。

ご希望の方は、葬儀社さんに頼んで後飾り祭壇(中陰壇)をそのまま遺骨の供養場所として残しておいても良いでしょう。

お供えもできるので、簡易的ではありますが仏壇代わりに毎日手を合わせられます。

収蔵できる仏壇を購入する

最近では、自宅供養用に遺骨を収蔵できる仏壇も販売されています。

仏壇の下部に収蔵する引き出しがついております。

仏壇のサイズにもよりますが、全骨収骨できるものもあります。

遺骨の収蔵には、場合によって粉骨が必要になることもあります。

普段は目につかないところに遺骨をしまうので、来客などがあった際も違和感なく自宅供養ができます。

また、サイズも台付きのものから家具の上に置ける上置き仏壇など好みに合わせることができます。

新しい仏壇なので、デザインは比較的家具調のものが多いようです。

自宅供養のメリット

では、気になる自宅供養のメリットについて解説します。

毎日お参りができる

自宅供養をしていれば、お墓まで行かなくても毎日お参りができます。

仮にお墓を作ったとすると、お墓参りの機会はある程度限られた回数になるでしょう。

また、忙しかったり、お墓を遠方に持つことになると、お参りの回数はもっと限られます。

自宅に遺骨があれば、時間や天候などを気にせず、いつでも手を合わせることができます。

費用がかからない

火葬場で収骨された骨壺を自宅に安置するだけであれば、実質費用は0円です。

また、管理コストもかかりません。

お墓を建てようとすると100万円以上はかかります。

樹木葬や納骨堂の場合も、人数や種類によりますが30~100万円程度が相場です。

合祀にする場合も底値で5万円前後です。

加えて、合祀でない場合はこれに年間管理料が5千~2万円程度かかってきます。

これらの費用負担を軽減できるという点で、自宅供養は有効です。

考える時間ができる

火葬後、すぐにお墓に納骨しなくていいので、ゆっくりと今後の供養について考えることができます。

お墓がない方ですと、そもそもお墓を建立する必要があるのか?

お墓の負担を子どもに残していいものか?

永代供養などにしようか?などです。

一般的な墓石のお墓を持った場合、定期的なお墓の掃除は欠かせません。管理費も毎年かかります。

さらに、子どもが遠方に住んでいた場合は、移動の時間や費用の負担がさらに上乗せされます。

自宅供養であれば、とりあえず跡継ぎにお世話を任せることなく、自分で供養できます。

ただし、供養する本人が亡くなった時に遺骨を遺された子供が困ってしまうので、最終的な供養の方法は決めておいた方がベターです。

自宅供養のデメリット

自宅供養をするにあたって、気を付けることはあるでしょうか。

自宅供養をしたい人必見の、注意点を紹介します。

遺骨にカビが生えることがある

先ほども書きましたが、たまに遺骨にカビが生えることがあります。

火葬された直後の遺骨は完全に滅菌状態で、そのまま骨壺に入れられます。

保管の際は、以下に注意しましょう。

寒暖差が少ない、直射日光が当たらない場所で保管する

湿気の多い所や水回りに遺骨を置かない

素手で遺骨を触らない

骨壺を開けない

カビの原因は湿気です。寒暖差で骨壺内部が結露し、水がたまることがあるので注意しましょう。

また、外部からカビ菌が入ることを防ぐため、骨壺を開けたり、素手で触ったりすることも控えましょう。

カビや結露は、お墓に納骨した場合は致し方ありません。

しかし、粉骨して屋内に納骨し定期的なメンテナンスをすれば防げます。

納骨先は考えておく

自宅供養されていた遺骨は、供養していた人も亡くなった時、残された人が供養することになります。

後の負担を考えると、自宅供養をするとしても、その後遺骨をどうするのかを決めておきましょう。

具体的には、自宅供養の期限と納骨先を決めておきます。

自宅供養の期限は、例えば四十九日や一周忌のタイミングや、供養する本人が亡くなった時などが挙げられます。

納骨先は、家墓があればそこに埋葬すればいいでしょう。

ただし、お墓が無い、あるいはお墓の跡継ぎがいない場合は、永代供養墓や納骨堂、散骨を検討します。

永代供養墓とは、墓地を管理するお寺が故人の供養をしてくれるお墓です。跡継ぎ不要のため、少子化の現代にあって需要が伸びてきています。

永代供養墓には、合祀墓、樹木葬、納骨堂などがあります。

すぐに納骨しなくても、先に区画だけ買える永代供養墓もあるので、探してみましょう。

また、散骨は、遺骨をパウダー状に砕いて海や山にまく供養の方法です。

下記に永代供養に関するリンクを貼っておきます。

身内や親族に迫られる

親戚や身内の中でも色々な考えがあるので、納骨しないことに反対されることがあります。

自宅供養に反対するよくあげられる理由に、「いつまでもこのままじゃいけない」というのがあります。

しかし、ご遺族が納得できるまで側に安置されてもいいと思います。

ちなみに、仏教の教義上納骨期限などはありません。

必要以上に納骨期限を迫る宗教者の意見は無視しましょう。

浄土真宗にいたっては亡くなってすぐ後に極楽往生しますので、教義上、納骨しないことを理由に故人の魂がこの世をさまよい続けることはないので、安心してください。

ただし、単純に遺骨が身近にあることに恐怖を感じる人もいます。

また、いつまでも近くにご遺骨を置いておくと、ずっと悲しみを引きずってしまうという方もいます。

少なくとも、自宅供養に関しては一緒に暮らすご家族の同意は得るようにしましょう。

まとめ

自宅供養とは、自宅で遺骨を供養することです。

しばらく安置されるならば、骨壺をそのまま安置しても構いませんが、最近では自宅供養の仏壇などのグッズも販売されています。

お墓を建てるよりも費用負担を減らすことができ、いつでもお参りできるのがポイントです。

納骨しないと成仏できないということも仏教の教義上はありません。

ただし、管理に気を付けないとカビが生えることがあるので注意しましょう。

また、最終的には遺骨はどこかに埋葬するか散骨する必要があるので、自宅供養の期限や埋葬先は決めておきたいところです。

ご遺族皆さんの納得できる方法で、故人を供養できる環境を作りましょう。

最後に本願寺から「携行本尊(絵像)」という小さなご本尊ができましたので、こちらをご遺骨とともに安置されてはいかがでしょうか?

下記にリンクを貼っておきます。

以上、自宅で供養されるメリット・デメリットでした。

【携行本尊(絵像)】

投稿者プロフィール

石原 政洋
石原 政洋住職
高校在学中に仏道へと入門し、早17年以上携わっております。当寺ではあらゆる角度から仏教の素晴らしさをお伝えするとともに、仏教伝来より培われてきた伝統文化と健康を共有する「体験型」寺院を目指し活動しております。ライフスタイルの多様化により、葬送や納骨などの形式が変化している近年です。終活に関するご相談も随時承っておりますので、お気軽にご相談ください。