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直葬について

皆さんこんにちは。

近年、葬儀社のHPや看板などで目にする機会も多くなった”直葬”という言葉。安価で手間いらずの葬儀というのがインパクト大ですね。”失われた30年”を考えてみますと、社会保障費が上がっているのに、平均年収は下がる。手取になると明らかに所得が減っているのがわかります。

また、先進国では絶対的な豊かさから娯楽などが溢れ、その影響により単身世帯、核家族が多くなることによって家族単位が昭和に比べ減っているので”家族葬”が流行っております。

”直葬”が流行る社会的背景を書くならば枚挙にいとまがありません。

しかし、本当に”直葬”という選択肢は正解なのかどうか?

このブログが皆さまの判断材料となれば幸いです。

直葬とは

直葬(ちょくそう)とは、火葬式、お別れ式ともいい、従来の葬儀に対して儀式などをせず、ご遺体の安置場所から火葬場へと運び火葬することです。
わかりやすくするため従来の葬儀式の順序を書きますと
※・搬送
※・ご安置
 ・臨終勤行(枕経)
※・納棺
 ・お通夜
 ・葬儀
※・出棺
※・火葬
※・収骨
 ・還骨勤行(最近はここで初七日法要をすることもある)

※印の部分が、直葬の流れとなります。

この直葬の利用者は
・とにかく費用を抑え、できるだけ簡素にしたい
・宗派にこだわりがないので、宗教者を手配する予定がない
・親族ではあるが、生前の付き合いがなく独り身で執行者がいないので仕方なくする

このように、経済的、宗教的、親族間の問題と様々な要因が重なり、選択される方がいらっしゃいます。安くて、早くて、手間いらずといえますが、本当にこれでよいのかどうか?
次は、その中身について見ていきましょう。

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【気になる葬儀費用】

直葬の内容

葬儀社によって、その中身は微妙に違うかもしれませんが、だいたいの流れは上記したように一緒です。ただ、細かなサービスがオプションとして加算されるので、”¥○万”という金額で収まることはほとんどありません。

まずは、「搬送について」
当たり前ですが、搬送する前の場所は故人様が亡くなられた場所によって変わります。
病院なのか、ご自宅なのか、警察署なのか。そこから、搬送先へと向かいます。

法律上ご逝去時刻(死亡診断書に記載)から24時間経過しなければ、火葬を行うことが出来ません。よってご逝去日の翌日以降で役所手続き(死亡届の提出)の進行具合、火葬場の空き状況、ご遺族の都合によって日時が決定します。
直葬における搬送先とは、24時間預かってくれる場所「ご遺体安置施設」「葬儀社が所有する安置所」「自宅」などのことです。

ここで、葬儀社のプランによっては「ご遺体との対面不可」というところがあります。
つまり、火葬される直前まで会えないということです。
それはあまりにも辛いということで、料金上乗せで「対面可能」「一晩付き添い可能」「ご自宅安置」というふうになるわけです。
後は、火葬日までそちらに安置されるだけです。誰にも見られることがないので、質の悪い葬儀社ですと完全に故人様を「物」のように扱うところもあるようです。


次に、安置から収骨までの「お別れについて」
対面可能だった場合、安置場所に納棺された状態となりますが、ここで”直葬”のセット内容について書いておきますと

・安置施設使用料
・ドライアイス(日数分)
・棺・棺用布団
・仏衣一式
・運営スタッフ
・ご搬送10~50km
・安置場所から火葬場への霊柩寝台車
・お別れ用花束
・行政手続き代行
・骨壺

おおよそこのような感じになりますが、最安値のプランだと枕飾り(ロウソク・線香・お花・お鈴)お位牌は付いていません。宗教性を省いているので当然かもしれませんが、当寺へご相談される方の中には「せめて線香の一本でも」と残念そうにされていました。
そして、遺影写真すらもプランに含まれていないことがあります。ですので、これも先ほどと同様、オプションとなります。

ご安置されている場所から火葬場までは霊柩寝台車で運びます。火葬時間の30分ほど前に到着し、棺を車に乗せて出棺となります。
私のよく経験している出棺は、火葬場までの道中に「故人様の好きだったお店、思い出のある場所、ご自宅の前などを通りましょうか?」と葬儀社さんが提案し、故人様、親族一同様で回ったりするのですが、直葬にそのようなサービスはありません。最短距離で火葬場へと向かいます。この時、ご親族様が多く、自家用車がないとマイクロバスなどをオプションでつけることになりますのでご注意ください。

火葬場へと到着したら、本来ですと炉前で5分ほど読経いたしますが、それもオプション次第。
お別れ後、葬儀社とはここで契約終了となります。

火葬後、収骨までの時間は各自で済ませ、時間になったら火葬場へと戻り故人様のご遺骨を骨壺へと収骨して終了となります。

以上、全体の流れと内容についてでした。

お葬式の舞台裏を詳しく知りたい方は下記リンクをクリック

【お葬式の裏側】

最後に

いかがでしたか?
”直葬”について書きましたが、この方法を考えている方を責めようとも、それを斡旋する葬儀社さんを非難しようとも思っておりません。
ただ、「費用がないから”直葬”でいい」「お布施は高いから僧侶はいらない」「葬儀は費用的にぼったくりだ」等々の誤解を解いていきたいなと思い書きました。
いったい費用がなければお葬式は出来ないと誰が言ったでしょうか?
無論、それらを伝えて来れなかった僧侶にも責任はあるでしょう。
ならば、しっかり満足のいくお葬式が出来にくくある現状を打開しようと考えました。

そこで、まずは自分のお寺から始めていこうと思い寺院葬をはじめました。
「お金はないけれどしっかりとしたお弔いをしたい。ゆっくりお別れが言いたい。」というご遺族様のご意見を最大限反映し設計しました。

・お布施に関しましては交渉次第です。
・プラン内容の変更もできます。
・アットホームだけど伝統も重んじる。そんなお葬式です。
・生活保護の方でもご相談ください。

以下、リンク先に詳細を書いております。



【お寺でのお葬式を考える】

投稿者プロフィール

石原 政洋
石原 政洋住職
高校在学中に仏道へと入門し、早17年以上携わっております。当寺ではあらゆる角度から仏教の素晴らしさをお伝えするとともに、仏教伝来より培われてきた伝統文化と健康を共有する「体験型」寺院を目指し活動しております。ライフスタイルの多様化により、葬送や納骨などの形式が変化している近年です。終活に関するご相談も随時承っておりますので、お気軽にご相談ください。