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彼岸会&落語会レポート

 3月20日、幸教寺彼岸会並びに落語会を勤修いたしました。一昨年は桂一門より「桂文華師匠」「桂華紋師」にお越しいただきましたが、今回は笑福亭一門より「笑福亭遊喬師匠」2席設けていただき、それぞれ「手水廻し」と「花筏」を披露していただきました。以下、あらすじ。

笑福亭遊喬 師

手水廻し

手水と書いて(ちょうず)と読みます。これは昔の大阪の方言で、洗面道具のことを意味しますが、元々は、寺社などの入口付近に手を洗う水場を手水舎(ちょうずしゃ)と言いますので、仏教用語が転用されたものですね。あらすじは、とある田舎の宿に、大阪のお客さんが泊まり、すがすがしい朝を迎え気持ち良い気分で店の者を呼ぶ。そして「手水をこちらに廻して欲しい」と伝えたものの田舎なので、店の者はおろか、旅館の旦那も「ちょうずをまわす」という意味がわからないので和尚に聞いたり、大阪の宿屋まで偵察に行ったりする話です。

花筏(はないかだ)

ある日 提灯屋の主人の元に相撲部屋の親方が訪ねてくる。

提灯の注文だと思った主人だったが、そうではなく親方は頼みがあるという。頼みというのが変なもので、部屋の力士一同 水戸地方巡業へ赴くことになったのだが、看板大関である花筏が大病を患って巡業に出られない。数年に一度の巡業に看板大関が行けないとなると、興行主も村の者たちもがっかりだ「相撲は取らなくてもいい 顔だけでも見せてくれないか」という興行主の頼みだが、花筏は歩くこともままならないそこで見た目や背格好の似ている提灯屋の主人に白羽の矢が立ったという話。

以上2席でございました。どちらも和尚さんが登場したり、念仏「南無阿弥陀仏」が出てきたりと、師匠のお心遣いも垣間見え、楽しい時間を過ごすことができました。落語には仏教に関連する話が多いのですが、それだけ仏教も僧侶も庶民に親しみやすい存在だったのかもしれませんね。

落語による認知症予防の可能性

 話は反れますが、笑う頻度が少ないほど認知機能が低下しやすい。といわれているのをご存じでしょうか?65歳以上の男女約1000人を対象に、笑う頻度と認知機能との関係を調べたところ、ほとんど笑う機会のない人は毎日笑う人に対し、認知機能低下のリスクが2.15倍高いという結果に。さらに、ほとんど笑わない人は1年後に認知機能が低下するリスクも3.6倍高かったそうです。これらは、福島県立医科大学の大平哲也教授らの研究です。(出典:老年精神医学雑誌第22巻第1号2011)

 大平教授はいいます。 「笑いと認知症発症との関連、そして笑いが認知症を予防できる可能性についてはいまだに明らかでない部分が多い。しかしながら、近年、笑いが認知症に対する代替療法になり得る可能性が指摘されるようになり、実際に笑いと認知症に関する大規模無作為研究が開始されている。笑いは日常生活において費用もそれほどかけずに増やすことができるものであり、笑いと認知症との研究が進めば、費用対効果が大きいと考えられる笑いの介入は、わが国の保健事業に大きく貢献できる可能性がある。」と。認知症の治療や予防、そして介護にも笑いが効果的なことがわかりました。笑いがあることで普段の生活にもハリと明るさが感じられそうですね。ぜひみなさんも取り入れてみてはいかがでしょうか?

落語会の様子

落語はある意味、高度な芸能といえます。それは、噺家さんが1人2役、時には1人5.6役し、なおかつ展開が早いので、聴く側も想像力を膨らませなければなりません。しかし、それが「頭の体操」にもなるわけですね!笑って楽しみながら認知予防。これはいいこと尽くしではないでしょうか?もともとは「伝統芸能をお寺から発信したい」という思いから始めましたが、理にかなった事をしていたのだと改めて実感いたしました。お彼岸は7日間あります。皆さまそれどれのお過ごし方がございますが、上記のように認知症予防効果が高いことがわかってきておりますので是非、ご参拝くださいませ。

投稿者プロフィール

石原 政洋
石原 政洋住職
高校在学中に仏道へと入門し、早17年以上携わっております。当寺ではあらゆる角度から仏教の素晴らしさをお伝えするとともに、仏教伝来より培われてきた伝統文化と健康を共有する「体験型」寺院を目指し活動しております。ライフスタイルの多様化により、葬送や納骨などの形式が変化している近年です。終活に関するご相談も随時承っておりますので、お気軽にご相談ください。